1株当たり利益の希薄化の懸念

1、ライツ・オファリングでの、1株当たり利益の希薄化の懸念は、増資資金をどう活用できるかで異なる

新株発行により発行済株式数は増加しますから、1株当たり利益はどうしても減少してしまいます。
新株予約権全てが行使されれば発行済株式数は2倍になり、希薄化により1株当たり利益が半分になってしまう?
(注意)こうした投資家の懸念で投げ売りが誘発させるかもしれない?

しかし、よく考えてみれば分かることですが、1株当たり利益が半分になってしまうのは、増資により集められた資金が何も利益を生み出さない場合です。会社側は、増資により得られた資金はM&Aなどに使うとされていますから、これにより得られる利益を考えれば、1株当たり利益が半分になってしまうことは恐らくないと想像できるはずです。株価が半分?

ただ、増資により得られた資金によって、どれくらいの利益を得ることができるかを、正確に予想することができないのが非常に悩ましいところです。

現在(増資前)の利益の2倍の利益をあげられるなら、1株当たり利益の希薄化はないことになりますし、3倍の利益をあげられるとすれば、1株当たり利益は希薄化するどころか逆に増加します。そのように考える投資家からすれば、今の株価急落はまさにバーゲンセールということになるのでしょう。逆に、現在の利益の1.5倍程度の利益しかあげられないなら、1株当たり利益は25%希薄化することになるため、足元の株価下落は納得のいくもの
となるはずです。

※増資資金が何に使われるのかが特に重要であり、過去のライツ・オファリング実施企業においてはライツという増資手法に慣れてきたのか?近年大きな混乱はありません

やはり市場(投資家)の判断はその企業の将来像が見えてくるかどうかがポイントのようですね 。